狼はメカニック
Buon giorno(ボンジョールノ)!!
6年前に仕入れてから埃をかぶっていたこの子を発掘したヨ。
これはLUPOっていう可愛らしい名前が付いてるフレーム。
LUPOフレームはすっごく珍しいンダ。
このLUPO MASCHERONIさんは当時、メカニックの世界では超名の知れた大物!LEGNANOでメインメカニックとして大活躍デシタ。
そしてこのLUPOフレームに象徴的ナ狼!
では、どうして狼ナノでしょうカ?
そう!LUPOはイタリア語で狼という意味。
ダカラ狼のマークなんだネ
しかし、LUPOは彼のニックネームなんだ。
メカニックの世界では、ニックネームで呼び合うのが通常なんだ。
例えばCOPPIのメカニックで有名な「PINELLA DI GRANDI」さんは「PINZA D'ORO」。日本語で「金のニッパー」なんてあだ名がついていたのです。
LUPOさんの実際の名前は UMBERTO MASCHERONI なんだよ。
では、なんでLUPOというニックネームか分かるカイ?
狼のような目つきをしていたカラ?・・ちがうちがう
実はイタリアでは "Fame da lupo" という言葉があるんだ。
これは直訳すると”狼のように飢えている”となるケド、
常におなかがすいている人のことを指す言葉ダヨ。
LUPOさん・・・食いしん坊だったのカナ・・
そしてそんなLUPOさんですが、77年の雑誌によると、メカニックとして活躍中に大失敗をおこしてしまいマシタ。
当時ツール・ド・フランスはプロ部門とアマチュア部門に分かれていまシタ。
プロレースのメカニックとして当日仕事に向かいましたが、
何を思ったのか・・・彼はアマチュア部門のレースに来てしまいました・・・
気付いた瞬間相当焦ったことでしょうネ。そしてしばらくの間落ち込んでしまったようです。そりゃそうでしょうネ。彼はある1人の有名な選手を連れていたので、彼のその年のツールは失格。
LUPOさんもですけど、それよりその選手がかわいそう・・・
そんなLUPOさんのフレームは複数の有名なビルダーに作ってもらっていたそうなのデスガ・・・
このフレーム。どっかで見たことあるようナ・・?
ハッキリとは分かりませんが、私はこのフレームはマラストーニさんが作った物だと思っていマス。
見てくだサイ。ラグもクラウンもマラストーニの物、そしてエンドの加工はマラストーニと瓜二つ。そして見つけた時についていたパーツもマラストーニさんのセンスを感じまシタ。
只、ヘッドラグはマラストーニの物を加工してシャープに変わっていマス。
マラストーニが作っていたとしても驚きではありまセン。
メカニックはビルダー以上に自転車を触り、パーツを理解し、走りを見て、選手とも話します。特に彼のようなメカニックは一般的なビルダーよりはるかに自転車を理解しているはずなのデス。
彼なら本当に優秀なビルダーを見極めそこにしか頼まない事でショウ。
普段明るみに出ないメカニックですが、実はとんでもなく過酷な仕事で、本当に優秀な方たちなのデス。
自転車の調整などはもちろん、選手の移動など身の回りの世話、多くのことをこなします。1日の労働時間は平均16時間だそうです。家族とも離れる必要もありますし、長く続けられる人は少ないようです。そのため、ビルダー等、業界内で転職する方も多かったのです。
コルナゴさんやデローザさんも元々はメカニックだったデショ?
活躍する選手はもちろんですが、日の当たらないメカニックたちこそ称えられるべきじゃないカナ。
LUPOは1995年に亡くなられていますが、彼の墓石は皆さんご存知の「MADONNA DEL GHISALLO」の教会にあります。
自転車の歴史に名を刻んだ方なのです。
このLUPOフレームは6年前に見つけて日本に送ってもらう時に、傷が入ってしまいました・・・(残念。)少しの手直しをこれからしていきます。
そして、580という日本ではなかなか無いデカさのフレーム。
乗るのはモチロン。ジ・ブ・ン。
1971年ヌーボレコードで全てオリジナルパーツ付き。
今のところは譲らないつもり。
(といいながらもお願いされたらいつも売ってしまうんだよナー・・・)
今日はここまで!CIAO!